新たな時代を見据えて

2017年に公示された新しい学習指導要領は、実社会・実生活で汎用性の高い力の習得を大きな目標として掲げています。それは、自立と社会参加を目指す特別支援教育、中でも、知的障害教育が大切にしてきた方向性と合致しています。
また、その前文には「一人一人の児童が、自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者 を価値のある存在として尊重し多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手」を育成するとあります。正に、共生社会の形成に向けた決意と 覚悟が示されています。
そのような、共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システムの時代にあって、知的障害教育 の在り方や、知的障害のある子どもの主体性を尊重し、さらに高めるような基礎的環境整備と合理的配慮の実際についての追究は今日的な課題であると言えます。

「生活中心」とは?

以下に、前会長である中坪晃一先生の挨拶文を引用させて頂きます。
『申すまでもなく、「生活中心」という用語は、知的障害教育初の学習指導要領(昭和37年度版)の解説書で、「・・・しかもこれ(教育内容;引用者注)を生活中心に総合的に与えていけるように、教科の 全部または一部を合わせたり領域の内容を統合して授業をしてもよいという特例(学校教育法施行規 則第73条の11の第2項)が設けられている・・・。」(第2部第1章教育の目標第一節P23)などと示されています。それに骨や肉を付け、理念や哲学を添えて力強く世に発信されたのが小出進先生です。戦後の早い段階に生み出され、受け継がれてきた生活中心教育は、この教育の王道であり本流、「不易流行」の「不易」のはずです。』
どれだけ時代が変わろうとも、教育における子ども主体とその生活を大切にする姿勢は普遍的な価値を有しています。日本生活中心教育研究会は、知的障害教育を中心に、その理念と方法論を追究してきました。すなわち、先の課題の追究は私たちの研究会の使命でもあります。
これからも全ての子どもの自立的で主体的な生活の実現、その豊かさにこだわる教育の創造を目指すべく、確かな実践研究と社会的な発信を続けていきたいと思っています。

一人でも多くの仲間とともに!

本研究会は、とても小さいです。ですが、その志は大きく、高いです。しかし、会長である私自身は本当に弱輩です。顧問をされていた小出進先生、会長をされていた太田俊己先生、名古屋恒彦先生、中坪晃一先生という歴代の先生方とは比べようもありません。ですから、会員の皆様のご理解とご協力があってこそ、研究会を維持、発展できると思っています。そのためにも、会員の皆様のご厚意を大切に進めて参りたいと思っています。お力添えのほど何とぞよろしくお願い申し上げます。
また、子どもが本音で「もっとやりたい!」「明日もやりたい!」と思えるような実践をしたいと考えている方は、ぜひ、各地の研究会に参加してください。本ホームページで、各地の研究会情報も紹介したいと思います。遠方で研究会の参加は難しいという方は、ぜひ、入会してください。ホームページでも紹介している機関誌『生活中心教育研究』を年1回発刊しています。子ども主体の生活にこだわる各地の熱い実践とともに、論説や提言、投稿論文もお届けできます。
一人でも多くの仲間とともに、実践を交流し合い、高め合っていければと願っています。

なお、2021(令和3)年2月に開催された総会にて、役員の改選及び事務局の移転がありました。詳細は本ホームページの「会則・役員」をご覧ください。今後ともよろしくお願いします。

                   
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