【お知らせ】
事例検討学習会「フクロウの止まり木」第4弾の開催は検討中です。なお、2026年における開催、参加者募集等の予定はございません。
【事例検討学習会「フクロウの止まり木」の歩み:開催報告】
【参加呼びかけの際のメッセージ】
ローマ神話やギリシャ神話の中で「学問の女神(ミネルヴァ)」として登場する「フクロウ」は、夜行性できわめて慎重な生態を示す動物です。しかも、時代を超えて、多様な生命体が複雑に交差する森の中で安心・安全を覚える「止まり木」を見つけだし、生息過程で得られた「知恵」を伝承しつつ生き抜いてきました。古代の人びとは、そのような生き様を注視し「ミネルヴァ」と名付けたと言われています。この度の呼びかけは、「フクロウ」の秀でた生態に共感できる仲間と出会い、ソーシャルワーカーとしての専門職アイデンティティの何たるかを体感できる「場」となるよう構想してみました。その理由は以下の通りです。
厚生労働省(担当専門官)が、社会福祉士養成カリキュラム(2021年度から実施)改定作業の必要性に言及した際に挙げた課題の一つに、社会福祉士の専門性の「希薄化」「脆弱性」があります。これまでの行政説明と趣を変え、社会福祉士とソーシャルワーカーを使い分けず、掲げた課題の深刻さと、スーパービジョン体制の強化が強調されました。
「曖昧さ」に関する課題は、国家試験が制度化される以前から問題視され、決して真新しい問題でありません。専門職として「業務独占」は認められず、「名称独占」として制度化された社会福祉士制度は、発足して30年以上を経過しました。この間、ある担当専門官が力説して語った「国家の試験」に合格し、必要な登録を終えている人材は271,263名(2023年2月末)と公表されています。専門職としての「共通基盤」が十分に醸成されていないことを意味する「希薄化」「脆弱性」の課題は、何故、解消されないままなのでしょうか。
そこには、多くの社会福祉系大学が法律用語として規定された「相談援助」を担う人材養成に重きを置くことで、大学としての主体性と自律性を見失い、さらに「金太郎飴のような授業」とも揶揄されたソーシャルワークの教育と研究のレベル低下に帰すべき課題があると考えます。その一つは、当事者との間の「非対称性の問題」であり、二つは、政策的縛りの中で当事者本位の視点を見失いがちな「現場実践の構造的な問題」であり、三つは、収益の上がらない制度の狭間に埋もれがちな人びとに手を差しのべることに躊躇いを覚える「実践感覚の問題」であり等、枚挙に暇がありません。
さらに考えなければならない課題として、ソーシャルワーク専門職の燃え尽き傾向や業務過程で生じる多様なタイプの「揺らぎ」のため、有為な人材の離職が顕在していることです。このような中で、スーパービジョン体制の強化の必要を説くことにいかなる有効性を見いだせるのでしょうか。取り上げるべき課題の順番が違うように思え、虚しさを覚えずにいられません。
「フクロウの止まり木」は、実践現場で顕在している諸課題と向き合うにあたり、今一度、スーパービション機能、とりわけ、スーパーバイザーとスーパーバイジーの役割関係の見直しから始めることを提案します。これまでと異なる切り口(viewpoint)から、支援領域の違いを超えて「現場実践で体感する多様な事象の深層を理解できる能力」を育み、実践に取り込むことを目指す「学びの空間」とありたいと願っています。