【案内】
ジャーナル(実践と理論の総合誌)『ソーシャルワーク実践研究』第20号(2024年9月刊行:創刊10周年記念号)は10月10日から頒布を開始しました。特集テーマは、「わが国におけるソーシャルワーク実践の課題と展望−社会状況を見据えた『日本的展開』の実態を検証する−」です。各論考からは、人びとの暮らしの混迷が一段と深まる中で、ソーシャルワーカーに期待される歩むべき「道筋」と、実践と理論を繋げる「方略」を読み解くことができます。
号 数 | 特 集 | 頒布料 |
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第19号 (2024年3月) |
(第18回ソーシャルワーク研究所シンポジウム報告) ソーシャルワーク専門職が取り組むアセスメントの特徴と支援ゴールの設定 −「求められる支援」を届ける方法と課題− |
1500円 |
第18号 (2023年9月) |
ソーシャルワーク専門職が直面する暴力とハラスメントへの対応−『かかわり困難事例』を『自身の成長』へ繋げるために− | 1500円 |
第17号 (2023年3月) |
暮らしの「転換期」における社会福祉の制度・政策とソーシャルワーカーの役割−一人ひとりの「Life」を支える支援とは− (第17回シンポジウム報告) |
1500円 |
第16号 (2022年9月) |
社会福祉関連法制度がもたらしたソーシャルワーカーの業務細分化の課題−重篤化した生活課題と向き合う専門職の役割再考− | 1500円 在庫僅少 |
第15号 (2022年3月) |
社会福祉制度の狭間に埋もれる人びとにソーシャルワーク専門職が果たす役割−命と権利と人権の擁護に向けてなすべき支援のあり方− (第16回シンポジウム報告) |
1500円 |
第14号 (2021年9月) |
ソーシャルワーク専門職が抱えるジレンマとパワーレスネス状態が問いかける課題−『実践原理』の空洞化と支援の隘路を乗り越えるために− | 1500円 |
第13号 (2021年3月) |
ソーシャルワーク専門職として支援のウイングを広げる思考の方法−コロナ禍で顕在した生活困難を乗り越えるために− (第15回シンポジウム報告) |
1500円 |
第12号 (2020年10月) |
ソーシャルワーカーとして取り組むべきアセスメントを問い直す−グレーゾーン化が進む実践の蘇生を目指して− | 1500円 |
第11号 (2020年3月) |
わが国のソーシャルワーカーは実践の軸足をどこに置くべきなのか−「当事者の暮らし」を支える支援の方法を考える− (第14回シンポジウム報告) |
1500円 |
第10号 (2019年9月) |
ソーシャルワーカーの実践とパターナリズム−『非対称性』の課題を読み解く− | 1500円 |
第9号 (2019年3月) |
専門性に裏づけられたソーシャルワーク専門職が記す「記録」−科学的証拠に基づく支援の説明責任を果たすために (第13回シンポジウム報告) |
1500円 |
第8号 (2018年9月) |
ソーシャルワーカーとして「語り」を「聴く」実践の意義と方法−「分かってもらえた」「受けとめてもらえた」と実感できる支援関係− | 1500円 在庫無 |
第7号 (2018年3月) |
ソーシャルワーク実践現場における人材育成とスーパービジョンの視座 (第12回シンポジウム報告) |
1500円 在庫無 |
第6号 (2017年9月) |
「矮小化する日本の衝撃」とソーシャルワーク専門職の実践課題−制度の「狭間」に対峙するための指針− | 1500円 |
第5号 (2017年3月) |
忘れてはならない地域福祉時代におけるミクロ・ソーシャルワークの視座−『問題認識』の個別化と『問題対処』個別化− (第11回シンポジウム報告) |
1500円 在庫僅少 |
第4号 (2016年9月) |
豊かな知識と批判的知性に支えられたソーシャルワーク専門職養成の視座−質の高い実践力を育む方法− | 1500円 在庫無 |
第3号 (2016年3月) |
超高齢・少子社会における「生きづらさ」の諸相とソーシャルワーク−ミクロ・アプローチのゆくえ− (第10回シンポジウム報告) |
1500円 在庫僅少 |
第2号 (2015年9月) |
業態別ソーシャルワークと専門職アイデンティティ −独自性と共有性をいかに説明するか− |
1500円 在庫無 |
創刊号 (2015年3月) |
支援困難事例と向き合うソーシャルワークの機能と障壁 (第9回シンポジウム報告) |
1500円 在庫無 |
ソーシャルワーク研究所 所長
北 川 清 一
ソーシャルワーク研究所(1975年に創設)は、「社会福祉の実践」の総合研究誌『ソーシャルワーク研究』(相川書房刊)の創刊以来、同誌の企画及び編集の業務を引き受けてきた。この度、そのような役割を継続して引き受けることを辞退した新たな状況を受け、研究所として創設時から掲げてきた「志(ambition)」を今後も継承するため、数名からなる「先覚」「同志」とともに、新たに「社会福祉における実践と理論(を繋ぐため)」の総合誌『ソーシャルワーク実践研究』の創刊を決断した。そこには、研究所創設から掲げてきた理念でもある、わが国におけるソーシャルワーク専門職の実践活動とそれに関連する研究活動との連環的発展を目指す上で、その取り組みに携わる者が「ピュアな感覚」を持ち続け、当事者とともに歩みを進めながら、何からも拘束されない、なにがしかの思惑にも翻弄されない「自由な発信を奨励する広場(common ground)」が必要との認識を共有できる土壌づくりに努めたいとの思いがある。さらに、例外を設けることなく、すべての人の「尊厳」と「権利」を擁護し、声なき声にも向き合い「代弁(advocacy)」する機能を均しく身体化できる専門職アイデンティティの醸成に貢献したいとの願いも込めてみた。そのため、本誌は、多くの賛助会員(読者)に支えられた出版活動として運営し、必要となる諸経費以外の収益を一切求めない定期刊行物(年2回)とする点に特徴を求めた。「志(ambition)」を遂げるには、社会的学問的貢献よりも利益の確保が優先となる出版社に依存することをしない、社会福祉領域における「リトルプレス」の先駆けの一つになることを志向すべきと考えたためである。
また、研究所にとって忘れてはならないことがあった。『ソーシャルワーク研究』誌の刊行は、40年前に相川書房との「協働」事業としてスタートしたが、社会福祉研究の大御所から「三号雑誌」と揶揄されて創刊の日を迎えた出来事についてである。本日お届けする『ソーシャルワーク実践研究』が、同人誌でも商業誌でも学会誌でもない、有為の賛助会員に支えられた発行形式をとったのは、揶揄された意味をしっかりと噛みしめ、ソーシャルワーク専門職の魅力は「思想としてのヒューマニズム」(務台理作)を貫く活動にあると語り合える「同志」とともに、実践の汎用化に努める活動を継続したいと考えたからである。
社会福祉の分野によっては、今なお代弁機能を中核に据えてきたソーシャルワークの実践活動が定着しないままにあり、また、一時期「横文字を縦文字にしただけ」との批判を受けた研究活動も、当事者の目線と交叉しない閉塞状況に陥った状態から抜け出せないようにもうかがえる。そこに内在する内省すべき事項は枚挙に暇がない。わが国においても、ソーシャルワークに関する実践と研究の活動成果は多彩な形で蓄積されているが、支援を最も必要とする人びとの暮らしの現実に追いつけないようなソーシャルワーク専門職を取り巻く状況の態様をどのように読み解くべきであろうか。
当事者の命に寄り添い、ともに生き、困難を抱える実態の様相を読み解く。その過程はソーシャルワーク専門職の「本質(essential)」そのものといえよう。本誌が掲げた「自由な発信を奨励する広場」とは、その「本質」を多様に論じ合い、状況の改変に必要なエネルギーが注入できる空間を意味してみたい。このようなこだわりを持つ研究所活動について、さらに、本日ここに創刊となる新しい雑誌の発行について、その取り組みの「意義」を伝えることができたならば、息の長い活動になることも可能のように思える。ソーシャルワーク専門職としての営為自体が人間としての知そのものであり、そこから新たな構想力と創造力が本誌を通じて育まれるならば、研究所としての取り組みは、持続可能なソーシャルワーク実践の基盤づくりへと繋がるに違いない。読者諸氏の賛意を頂戴できれば幸いである。
(2015.03.31.)
■■■ 投 稿 規 定
(1)投稿原稿は、ソーシャルワーク研究所の「志(ambition)」と内容上において合致するものであり、本誌定期購読者に限ります。
(2)本誌における投稿論文は、他誌に「掲載済み」「査読審査中」「投稿予定」等の論文内容と類似性が高いものは受付をしません。また、他誌への同時応募もお控え下さい。これらのことは投稿者のモラルとして厳守願います。
(3)投稿論文が「調査研究」「事例研究」の場合、投稿者が所属する機関等が発行する倫理審査の結果(通知文)を添付してください。
(4)投稿論文の締め切り日は毎年6月及び12月とし、査読の結果(原稿を受領して60日以内に「結果」を通知の予定)、本誌掲載が可となった場合、直近号に掲載するものとします。
(5)投稿論文の掲載の可否にかかわる査読の「内容」に関する通知は査読者の判断に一任することとし、問い合わせには応じかねます。なお、投稿原稿は返却致しません。
(6)採用原稿の著者校正(校正期間は1週間程度)は1回のみとします。また、掲載誌1部を進呈します。
(7)投稿論文について、査読の結果、加筆・訂正等を必要と判断され、その旨の通知を受けた後、投稿者の申し出があった場合、1年以内を目途に本研究所スタッフが内容の修正作業に加わり、本誌への再投稿を査読の範囲内で支援します。ただし、現場実践者に限ります(常勤・非常勤を問いません。なお、大学院在籍者は除きます)。
■■■ 執 筆 要 項
(1)投稿原稿は、原則としてワープロまたはパソコンで作成、プリントアウトした原稿と併せて電子媒体データファイルを提出して下さい。
(2)投稿原稿は400字詰原稿用紙換算で40枚以内とします。図表、注、参考文献を含めます。なお、図表は1点につき800字換算、1頁全体を使用するものは1,600字換算とします。原稿用紙枚数は厳守下さい。
(3)投稿にあたっては、別紙に「タイトル」「所属」「氏名」「職業」「連絡先(住所、Tel及びFax番号、メール・アドレス等)」を記載し提出願います。なお、本文は論題のみ記載願います(氏名等の記載は必要ありません)。
(4)共同執筆の場合は、他の執筆者の承諾を得るとともに執筆分担を明記下さい。
(5)事例を用いた場合は、原則として当事者・関係者等の許諾(許諾書写しを投稿の際に添付願います)を得たことを本文中に明記するほか、人物や場所等が特定されないよう工夫したこと、あるいは、フィクションであることも付記して下さい。
■■■ 送 付 先