イベント
2023年度秋学期
公開セミナー
テーマ
多文化主義とデモクラシー ―隠された記憶を掘り起こす―
現在、多文化主義の法制度化が進んでおり、多様性の増加を望ましいとする考えが広まっています。しかし、多様性がデモクラシーにとって障害と考える人々も存在します。デモクラシーは、多様性を理解した上での議論を促す仕組みです。そのために、多様性の増加により、理解や議論にはより多くの手間が必要とされるようになります。一部の人々は、この手間に耐えることができず、ヘイトスピーチをはじめ、多様性を切り捨てるポピュリズムの言説に魅力を感じています。このセミナーでは、手間をかけない理解や議論がどのように多様性を排除してきたのかを議論する場を提供します。この場での議論を通じて、わたしたちが、排除された多様性の重要性に気づき、手間をかけた理解や議論の価値を改めて評価するようになることを目的とします。
開催日時 |
2023年10月6・13・20・27日、11月10日 (いずれも金曜日、全5回) 17時00分-18時30分(開場 16時45分) |
---|---|
開催方法 |
会場参加かオンライン参加が選べるハイブリッド開催 |
会場(申込不要) |
明治学院大学横浜キャンパス 7号館1階711教室 |
オンライン(要申込) |
Zoom Webinar |
参加費無料 |
開催日 | ゲスト | テーマ | |
---|---|---|---|
第1回 | 10/06 (金) |
佐藤 幸男 (富山大学名誉教授) |
孤島のデモクラシー: 仏領ニューカレドニア・ウヴェア島の生活史から |
【講演要旨】 世界は未曾有の混乱のなかにある。貧困、人種、差別、分断、格差、パンデミック、ウクライナ戦争、イスラエルによるパレスチナ弾圧、ジェノサイド、そして「グローバルサウス」とよばれる非西欧世界の勃興。奈落の底で民主主義もまた機能不全となっている。世界的な不平等の拡大、世界規模での労働力搾取、移民の排斥、人種差別が跋扈するのは、「制度としての民主主義」だけでは機能しないことをしめしている。・・・ ⇒ 全文 資料年表はコチラ |
第2回 | 10/13 (金) |
飯田 文雄 (神戸大学大学院法学研究科教授) |
リベラルな多文化主義に未来はあるのか | 【講演要旨】 今日欧米を中心として、政治哲学では、多様な文化保護のための多文化主義政策の正当性を巡る論争が活発化しているが、そうした論争においては、自由と平等の両立を目指すリベラリズムの諸論者の議論が重要な役割を果たしている。そこで、今回の講演では、1990年代の初頭に、リベラルな多文化主義を確立した論者として名高い、ウィル・キムリッカの議論を皮切りに、リベラルな多文化主義の是非を論じた今日に至る様々な論争の変遷について、この論争の中で中心的な役割を果たした「脱出権」概念を手がかりとして、多様な側面から考察を加えた。・・・⇒全文 |
第3回 | 10/20 (金) |
中野 裕二 (駒澤大学法学部教授) |
日本にとっての共和国モデル | 【講演要旨】 フランスにとっての「共和国モデル」とは、フランス革命の精神の具体化であり、フランス共和国の社会観であり、そして社会編成原理である。フランス革命前の社会秩序の特徴を端的に表現すれば、「集団を基礎とする不平等社会」であった。革命後に目指された社会秩序は、「個人を基礎とする平等社会」である。この社会秩序を実現する政治体制がフランス共和国である。それゆえ、今日でも、宗教・言語・出自などにかかわらない市民の平等は、フランス共和国憲法の柱の1つである。・・・ ⇒ 全文 |
第4回 | 10/27 (金) |
山下 泰幸 (日本学術振興会特別研究員PD <同志社大学>) |
現代フランスのイスラーム嫌悪: ミドルクラスのムスリムの実践から |
【講演要旨】 本講演は、フランスで実施したインタビュー調査の結果に基づき、ミドルクラスのムスリム(イスラーム教徒)の日常における行為や振る舞い、人生選択に関して社会学的な分析を行うことで、現代フランス社会に蔓延するイスラモフォビア(イスラーム嫌悪)の問題について考えることを主題としている。・・・ ⇒ 全文 |
第5回 | 11/10 (金) |
辻 康夫 (北海道大学大学院法学研究科教授) |
過去の想起はなぜ必要なのか: 多文化主義の観点から |
【講演要旨】 過去にマイノリティ集団に対して行われた深刻な加害行為に対して、その清算・修復を求める動きが強まっている。これに応えて、各国政府や自治体、企業、大学、教会など、多様な団体が検証・謝罪・補償などを行うようになった。これにあわせて、過去の不正に注目しつつ、歴史を見直す動きも広がっている。他方で、このような動きに対しては、疑問や批判も提起されている。・・・ ⇒ 全文 |
<司会者> 浪岡 新太郎(国際学部付属研究所 所長)
お問い合わせ先
国際学部付属研究所
TEL. 045-863-2267 (受付時間:平日 10時半-16時半)
Email: frontier(at)k.meijigakuin.ac.jp
※ (at) は @ に置き換えて下さい.
Email: frontier(at)k.meijigakuin.ac.jp
※ (at) は @ に置き換えて下さい.