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2023年度春学期
公開セミナー
テーマ
多文化主義とデモクラシー ―隠された記憶を掘り起こす―
多文化主義が一般化し、その法制度化が進んでいます。多文化主義とは,人々の生活のあり方の多様性が増すことを望ましいとする立場です。しかし、多様性が増すことをデモクラシーにとってやっかいなことだと考える人 々は、少なくありません。デモクラシーとは,人々が、共同生活のあり方をめぐって、その多様性を理解した上で議論する仕組みを意味します。したがって、多様性が増すことによって、人々は、理解し、議論する際の手間 をより多く要求されることになります。ポピュリズムやヘイトスピーチの拡大を、こうした手間に耐えられない人々の行為として考えることができます。本年度のセミナーでは、私たちにとって手間のかからない理解や議論 が、どのような多様性を、どのように排除してきたのか、を考えたいと思います。排除された多様性の大切さに気づくことで、手間をかけた理解や議論の価値を再発見したい。こうした趣旨から、セミナーでは、「隠された 記憶を掘り起こす」ことを課題とします。 全部で 8 回を予定していますが、春学期には、私たちの現在の議論の基盤となる「戦後」 に注目し、2 名の講師をお招きしてセミナーを開催いたします。
開催日時 |
2023年7月11日(火)・7月21日 (金) 17時00分-18時30分(開場 16時45分) |
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開催方法 |
会場参加かオンライン参加が選べるハイブリッド開催 |
会場(申込不要) |
明治学院大学横浜キャンパス 9号館1階911教室 |
オンライン(要申込) |
Zoom Webinar |
参加費無料 |
開催日 | ゲスト | テーマ | |
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第1回 | 7/11 (火) |
山崎 哲 (慶應義塾大学総合政策学部非常勤講師) |
中国残留孤児の継続する「戦後」 | 【講演要旨】 多文化主義 とデモクラシーと題されたセミナーシリーズにおける本発表の目的は、「多様性が排除される事態」を中国残留孤児を事例に考えることである。「多様性が増すことによって、人々は、理解し、議論する際の手間をより多く要求されることになります。(中略) 私たちにとって手間のかからない理解や議論が、どのような多様性を、どのように排除してきたのか 1」というコンテクストにおいて、中国残留孤児を例にとって検討を行うとき、そこでは、中国残留孤児らのもつ歴史性が日本社会において漂白され、かれらの存在が「中国人」というわかりやすいカテゴリーに回収されて認識されるという論点が前景化される。・・・ ⇒ 全文 |
第2回 | 7/21 (金) |
土井 智義 (明治学院大学国際平和研究所助手) |
「戦後日本」という枠組みを問う: 米国統治期「琉球列島」の入管制度から | 【講演要旨】 はじめに 今年6月、入管難民法が改定され、難民申請中の人も送還できるようになったことは記憶に新しい。日本で暮らす意思をもつ人を、入管制度の適用対象となるかどうかで選別して追放することは、人々の「多様性」を排除することにほかならない。現在の日本で「多文化主義とデモクラシー」を検証する際、「戦後日本」という権力構造を支える枠組みを再考することが求められる。 いまの日本では、入管制度の適用を受ける「外国人」が日本国籍の有無で規定されるため、国籍こそが入管の対象者を決めるのだと自明視されてはいないだろうか。だが、歴史をみると、入管の適用に関する人の区分は、特定の人びとを強制送還できるよう権力が事後的につくったことがわかる。 ・・・ ⇒ 全文 |
<司会者> 浪岡 新太郎(国際学部付属研究所 所長)
お問い合わせ先
国際学部付属研究所
TEL. 045-863-2267 (受付時間:平日 10時半-16時半)
Email: frontier(at)k.meijigakuin.ac.jp
※ (at) は @ に置き換えて下さい.
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