現在、修士課程において、カンボジアの民主化について研究している。今回の出張では、その事前調査を行った。
カンボジアは、フランス殖民地支配からの独立後、ベトナム戦争の影響や内戦、ポル・ポトによる破壊的な支配など暗い歴史を持つ。1993年9月、国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)が派遣され、「カンボジア紛争の公正で持続可能な解決」が目指され、国家の再構築が行なわれた。
しかし、現在も人口の約40%の世帯が貧困ライン以下の生活を送り、5歳未満児死亡率は東南アジアで最も高く、ストリートチルドレン、人身売買、児童売春などが大きな問題となっている。
今回は、それらの問題と、その解決のために行なわれている活動について知るために、児童売春問題に取り組むNGOであるHCCや、内戦時に埋められた地雷の被害により孤児になった子どもたちを支援するNGOのCCHなどを訪問した。これらのNGOは、被害者の子どもたちを保護し、カウンセリングや教育、縫製業などの職業訓練を行なっている。
その他にも、ポル・ポト時代に収容所として使われていた建物で、現在はポル・ポト支配の歴史を展示しているトゥールスレン博物館や、アキラの地雷博物館、農村の小学校を見学した。また、ステメンチャイのごみ山も訪問した。ここには、劣悪な教育環境、衛生状況の中で再利用できるものを集め、生計を立てている人々が暮らしている。
カンボジアの貧困と、教育の欠如など、多くの問題を目の当たりにした出張であった。