出張報告

半澤 朝彦

 

▼出張期間

2005年3月12日より2005年3月18日まで

▼出張先
オーストラリア(キャンベラ)
▼研究テーマ
イギリスからアメリカへの覇権交代史に関連するいくつかのサブ・テーマについて、両国と深い関係のあるオーストラリアの視点をさぐる
▼調査の内容

キャンベラの国立公文書館をメインに、秘解除された機密文書を分析した。


@1948年のブリュッセル条約、1949年の北大西洋条約締結にいたる交渉過程において、ヨーロッパ大陸との関係緊密化を図るイギリスに対して、オーストラリアはコモンウェルスの紐帯維持の観点から警戒感を抱いていたとされる。ただ、内部文書を見る限り、イギリスが本気で欧州統合に参加する気がないことは承知しており、実際にはかなり冷静な見方をしていたことが分かった。


A国連創設時のオーストラリアの立場を分析した。具体的には、1944年のオーストラリア=ニュージーランド協定、非自治地域の設定問題、オーストラリアが実効支配していたパプアニューギニアが国際連盟の委任統治から国連信託統治に移行する際の、オーストラリアの思惑を調査した。


Bいわゆる「白豪主義」の移民・難民受け入れ政策が、国連など国際的な環境変化によってどのように変化させられたかについて、予備的な調査を行った。調査者にとって新しい分野であり、今後より多くの先行研究を分析する必要がある。

キャンベラ

国会前に陣取るアボリジニーの主張

 

 

 

▼発表予定の論文・著書等

 @イギリスからアメリカへの覇権交代については、単著を準備している。
 A国連と国際政治については、緒方貞子氏との共編著「グローバルガヴァンスの歴史的変容−国連と国際政治史』が今年刊行される予定。
 B白豪主義を転換させた国際環境については、7月の学術フロンティア主催の国際会議で報告する予定。