2006年度春学期 明治学院大学公開講座 |
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● 趣 旨 ● 1990年での登録済み在日外国人の人口は1,181,000人だった。現在では約200万人となり、90年レベルの2倍となっている。さらに約25万人の不法滞在外国人がいて、日本に帰化した人(最近は1年間で約15,000人の増加ペース)を含めればその人数がさらに増える。この増加の背景にはいくつかのファクターが見られる。まず少子化問題で労働力年齢の日本人人口が確実に減っている。それに、日本人の若者は教育水準が高く、肉体労働や「3K」(汚い・きつい・危険)労働をしたがらない。バブル経済の崩壊で総合的な労働力需要が減っても、こういった構造的な状況は残る。しかし皮肉なことに、日本の入国管理法は「未熟練労働」(肉体労働など日本の経済が一番必要とする労働力)の入国を認めない。その政策的な矛盾は「不法就労外国人現象」に直接繋がっている。不法就労外国人は全体の10〜15%に過ぎないが、その労働力が必要であるかぎり当局は見て見ぬ振りをするケースが多い。 90年代の増加の直接的なきっかけは1990年の入国管理法改正で、その目的は入国規制を一部緩和して、より多くの外国人労働者を受け入れることだった。特に「日系」人(国籍は日本ではないが、先祖に日本人がいる)の合法的な入国・労働を認めた。これは90年代に、ブラジルやペルー出身の日系南米人がゼロに近い水準から約30万人に激増した現象に繋がっている。 さて、以上のトレンドを見て、日本は「多民族社会」になっていると言っていいのだろうか?今でも、外国国籍の人は日本の総人口の約1.5%にすぎないから、国際的に見れば日本はまだまだ多民族性が比較的に低い国家だが、これからどうなるのか?そもそも、多民族社会になるのは良いことなのか、悪いことなのか?法律・政策の準備、国民の心の準備はできているのか?現在日本に暮らしている様々な外国人はどのような日々を過ごしているのか?「外国人犯罪」は本当にマスコミが報道するほど大きい問題なのか、それとも日本のマスコミの差別意識による過剰反応のせいなのか?政治的・感情的な論点が実にたくさんある。 なお、横浜は明治時代以来、日本の中でも特に「国際的」な街だとよく言われるが、本講座の講師たちは全国の事情だけではなく、ここ横浜の多民族性も論じる予定である。2006年3月現在、横浜の登録済み外国人の人口は約7万人であった。横浜市の総人口は350万人だから、ちょうど2%という計算になり、全国平均を0.5ポイント上回っている。主なマイノリティは中国人(24,000人)、韓国・朝鮮人(16,000人)、フィリピン人(7,000人)、ブラジル人(4,000人)。 この公開講座では、在日韓国人・中国人・ブラジル人・フィリピン人・イギリス人・日本人により、日本と横浜の中の国際社会を冷静に検証する。学者と運動家、観察者と当事者の声を聞きながら、日本と横浜の国際化の本当の意味を探りましょう。 |
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◆公開講座『横浜から見た日本の中の国際社会』は企画のみ担当。
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