● 趣 旨 ●
この講座では、私たちが日常生活においてわかったつもりになっている「女であること」や「男であること」について、改めて見直してみましょう。そのために分析道具として、「ジェンダー (gender)」というキーワードを使います。
「ジェンダー」という概念は、日本においては、ここ20年あまりの間に学問研究やメディアの文章でしばしば見かけるようになりました。ややむずかしく響く言葉ですが、一般には「社会的、文化的に規定された性」と解釈されています。この概念を使うと、「女」「男」という分類や「女らしさ」「男らしさ」といった性質が、実は人々の手によって作りあげられ、維持されていることが明らかになります。
いいかえれば、「女らしさ」「男らしさ」は、不変でも固定的でもないことになります。ですから、同じ日本社会の中でも、時代や地域によって変化してきました。戦後の日本と今の日本を比較すれば、歴然としているでしょう。もちろん、文化のあり方が異なる社会では、男と女のあり方は異なって現れます。けれども、文化自体も、社会や世代を超えた相互の影響でどんどん変化します。
このような男女間の差異という多様な現象を、社会学におけるジェンダー論や高齢化社会論、人類学的な異文化理解論、政治学や国際政治学の分野からユニークにアプローチしてみようというのが、この講座の主旨です。
講師一人一人もそれぞれ新しい問題にチャレンジしています。どうぞ講師陣とともに、ご自身やご家族のあり方をゆっくり捉え直してみてください。長い人生で一度は考えてみたいテーマだと思います。 |